静岡/清水のサッカー

今シーズン、監督交代や残留争いをしている最中で、静岡のサッカー、清水のサッカー(以下、「清水のサッカー」とします)という言葉を時折聞きました。
これらの言葉は何を指しているのでしょうか?最大公約数的な何かが存在するのでしょうか?
大榎監督の言葉で「ボールも人も動く攻撃的なサッカー」という言葉がありましたが、これも「清水のサッカー」を指す言葉なのでしょうか?

自分の中で、「清水のサッカー」という言葉から連想されるのは、高校サッカーで清水商業・清水東・東海第一などが強かった頃を連想してしまいます。
テクニックに秀でていて、フィジカルでも九州の強豪に引けをとるわけでもなく、相手を常に圧倒していたイメージが残っています。負けるとしたらPK戦やカウンターからの一発逆転しかないというそんな印象があります。スタイル云々以前に個人個人が相手を上回っていたという印象なのです。
単に個人で圧倒していたから、ボールを保持する時間が長かったというのは、スタイルではなくて、単に戦力で圧倒していただけですよね。
もし、清水エスパルスがそんなチームであったら、もちろん僕は嬉しいですし、多くの人が支持するでしょうが、悲しいかな我がクラブの財政的にはそれは無理ですし、育成年代だけを見ても、圧倒的に全国を制するなんてことはなかなかできることではありません。

何故、自分がこの「清水のサッカー」という言葉を気にしているかと言いますと、なんとなくそれを清水エスパルスに強いているファン・関係者の方が多いのかなと感じているからです。
もし「清水のサッカー」が清水が最もリーグ制覇に近づいたアルディレスの頃のようにサイドアタックを重視しましょうなどであれば問題ないと思います。ただ、もし強かりし頃の清水の高校サッカーのように、あるいはJリーグ創成期の頃のように、そもそも戦力が圧倒的に揃っていることを前提とした言葉であれば、それは現実と乖離した意見だと思いますし、単なるノスタルジーだと思うのです。そしてそれは、現状の改善には与しないでしょう(念のため断っておきますが、資金が限られた中でテクニックやフィジカル・戦術を向上させていくのは当然のことです)。

大榎監督の「ボールも人も動く攻撃的なサッカー」というのは、正直、今シーズンの戦いぶりからは見えませんでした。それだけに不安も大きいのですが、どんなサッカーを見せてくれるのか楽しみに来シーズンの開幕を待ちたいと思います。

2014年シーズン第28節 横浜F・マリノス vs 清水エスパルス

何度目かもわからない今期ワーストの内容で完敗。一方で大宮・仙台・甲府が勝ち点を上積みしたことでより苦しい状況に追い込まれてしまいました。

横浜と清水は似たようなフットボールを志向していると思います。前からのプレス・高さではなく平面主体、ですが相手に一日の長があったと言うべきかことごとく上回れてしまいました。終始劣勢だったのに、相手には3枚のイエローカード、こちらは0枚というのは、球際に強くいけなかったということですが、球際に強くいけるようなシーンすら作らせてもらえなかった感があります。

前半は、翔と佐藤を中心にこちらのDFラインに圧力をかける → ショートパスでプレスを剥がせない → ロングボールを蹴る → ノヴァのところでボールが納まらないの延々ループ、逆に、相手DFラインに圧力をかけられないし、上手く連動してプレスをしていないのでプレスを剥がされるという展開。後半はミスが多くなり自滅という感じでしょうか。

色々とジレンマです。
代表戦帰りのノヴァは良くなかったけれど、高さと決定力を考えるとなかなか外せない(瀬沼はきっとコンディション悪いんでしょうね)。前プレの整備には時間がかかるけれど、後ろに引いても守りきれるチームでもない。もちろんあちこちに出没する中村俊輔を捕まえられるほどのフレキシビリティもない、いや、なぜ清水戦で復帰するんだってと泣き言を言いたくなるほどの存在感でした。
かと言って、昨日の試合はどこも1対1で優勢なポイントもなかったですし、踏ん張って欲しかったとは思いますが後半ミスが連鎖していくのもわからないではありません。前体制のチームは上手くいかないことを前提に組み上げられていましたが、現体制は上手くいくことを前提に組み上げられているので、嵌った時には面白いのですが、嵌らないときはもどかしいです。

次戦は、新潟戦です。大宮・仙台が勝利したことでプレッシャーもきつくなっていると思います。ただ、この順位にあるチームが突如連戦連勝することは基本的に無いことです。アウェーで完敗するということも普通にあることです。それでも心折れずにプレーすることが残留への第一歩だと思うのです。
新潟も前プレが上手く、ホームとはいえ苦戦が予想されますが、なんとか勝ち点を積み重ねて欲しいと思います。

短評
GK 櫛引 孤軍奮闘も報われず。残念。

2014年シーズン第27節 清水エスパルス vs セレッソ大阪

突如、地獄のような職場に放り込まれて気づけば愛するチームは降格圏に。その間もできる限り試合は観てましたけれど、ちょっと疲れきっている状態で何か書こうとは思えない試合が続いていて、更新をサボっていました。
ようやく一区切りついたので、またボチボチとこちらも再開していきたいと思います。

残留争い直接対決2戦目のこの試合は、ここ最近の試合とは打って変わった内容を見せ3-0で快勝しました。もちろん順位的に勝ち点的に大きな一勝ですが、この勝利が、少しでもチームに自信を取り戻させたり、重圧を取り除いてくれることを願います。

嬉しかったことはここ最近の試合と大きく異る試合の入りを見せてくれたことです。
5バックから4バックに変わって中盤の枚数が増えたことも大きかったですが、積極的にボールを奪いに行く姿勢や球際の強さも光りました。正直、最後の最後まで吹っ切れずにズルズルいってしまうことも危惧していただけに、嬉しいサプライズでした。

この後も横浜FM、新潟、広島と相性の悪い相手が続きますが、今日の勝利が浮上のきっかけになればと思います。

短評
GK 櫛引 まだまだ安定感が足りない感じ。GKコーチはどうなるんだろう?
DF 河井 さすがの戦術眼。前監督が彼をSBで起用したことに批判していたライターは本当に何を観ていたのか。
ヤコビッチ 良くも悪くも普段通りのプレー。外国人選手たちはボールを持った際に前にスペースがあるとそのまま攻め上がることに躊躇がないのが良いと思う。
平岡 他のCBの選手ももっと得点を重ねていても良いのだと思うけれど、気づけば彼だけが得点を重ねている。素晴らしい。
吉田 賛同してくれる人は少ないだろうけれど、今シーズンは1つ選手としてレベルをあげていると思う。祝J1・100試合達成。
MF 本拓 石毛と並んでMVP候補は彼だと思う。ボール奪取・展開、そして機を見ての攻め上がりと良かった。怪我が軽症でありますよう。
六平 本職であるはずの前目の位置に入った時の方が物足りない。レギュラー一年目と言えばそれまでなのだけれど。
大前 不調。ここぞというところで、正確性や積極性を欠いたのは頂けなかった。
石毛 価値ある先制点。あとはスルーパスをノヴァが決めていればといったところ。攻守に効いていた。
FW ノヴァ ゴールだけが足りなかった。
結局このチームは彼のコンディションに左右される面が大きい。彼を孤立させないことが大事なのかと思う。あとは彼個人の出来が最低限今日ぐらいを保ってくれると嬉しいのだけれど。