2012シーズンの清水エスパルス

総評

今シーズンの採点: 80点
保有する選手の戦闘力で言えば13-15位ぐらいか。その面子で終盤の残留争いに巻き込まれなかったのは素晴らしい(鳥栖は5位だけれど)。結果だけで言えばこんな感じかな。内容的には山ほど言いたいことあるけど。

良かったところ

  • ビスコ決勝進出したこと。ひたむきなチームであることを示したし、若手が大いに経験を積めた(ハズ)。
  • ビスコ決勝など不在は大きかったけれど、アレックスの移籍で相応の移籍金を得られたことは良かった。
  • 広島・仙台・鹿島・磐田にリーグ2連勝できた(逆言うと、札幌を含めた5チームから10勝を上げて、他12チームから4勝しか上げられていない)。

判断保留なところ

  • (問題を抱えていた?)小野・岩下・枝村を放出したのは、フロントがまた一つプロフェッショナルになったと思いたい。…思いたい。
  • リーグワーストの反則ポイントを稼いだけれど、序盤戦のスタイルとそれに伴い審判と相互不信があったのが大きな原因ではないか。もちろん、スタミナ切れ・ポジショニングの悪さなどによる技量不足が原因というファールも多かったが、それはその前提に問題があるので、致し方無い気がする。相手を壊すことを狙ったダーティーなプレーは少なかったと思う。

改善して欲しいところ

試合内容編

  • リスクテイクの基準が共有されていなかった。おそらく日本人選手はかなりのプレーを制限されていると感じているはず*1。反面、ゴトビにはそこまで強い制限をかけている認識が無いはず。ボールを保持しているだけで、臆病な選択・プレーが多かった。
  • 相手をリスペクトしていない。相手の戦力・戦術に拘わらず同じようなフットボールしか出来なかった。そして終盤に足が止まる。アウェー磐田戦のようにセットして守る時間を増やすべき。
  • ボールを保持できるが、多くの場合で単に持たされているだけだった。キャラ(ヨン・アピン)というリーグ最高レベルにパス出しのできるCBがいて、攻撃が組み立てられないのはもったいない。前線~中盤の動き直しが無さ過ぎた。この面ではゴトビのチームビルディング能力と選手の学習能力に疑問符が付く。
  • 中盤の河井・八反田・杉山が0得点というのは、4-3-3のチームにしてはお寒い限り。遅攻時にバイタルに入ってから有効な攻撃が驚くほど少なかったことの証左。あとトップ下が弱かったというのは正直ある。

チーム編成編

  • 年間を通して適切なCFWを見つけられなかった。金は試合に参加する時間が短くサッカー脳が良いとは思えないので、契約終了で良いと思う。アレックスを通して使っていれば(早い段階でダブルボラに踏み切れていれば)解決した問題のような気はもの凄くする。
  • レンタル選手が多すぎる。反面、CFW以外にもボランチ・SB・CBの層が薄すぎる。控え選手5名がFW登録はもはやギャグ。辛いけど整理が必要。

メンタル・コミュニケーション編

  • リスクの掛け方を見ているとゴトビと選手で十分なコミュニケーションが取れているか心配。
  • 9試合勝ち星なし・ナビスコ決勝後未勝利と、ダメな時期が長引きすぎる。ベテランがなかなかフィットしなかったのはこの面でも痛い。
  • 膠着した試合状態で自らアクションを起こせる選手がキャラしかいなかった。1試合だけであればまだしも何試合もこれを見せられると辛い。監督の指示が枷になっているのだろうとは推測するけれど、選手には気持ちをプレーで体現して欲しかった。勝利に対する飢えを感じないというのが印象。

選手のレベルアップ

  • ゴトビは選手をレベルアップさせることができる監督なのか?ゴトビ(と選手)に対して一番不安に感じるのがこの点。逆に言えばこれができれば、他は小さいことだと思う。健太時代の田坂のようなコーチを引っ張ってこれると最高だけれど、ゴトビはそれを許さなさそう。
  • ちゃんと要求しあっている?そういった意味でユングベリの退団はダメージがでかかった。月並みだけれどドゥンガや闘莉王みたいなキャラの選手が欲しい。
  • 選手の線が一向にがっちりとしてこないんだけれど、食事はどうなっているんだろう?

寸評(一部のみ)

ゴトビ: 勝ち星が特定チームに偏っていること・その特定チームに1位2位が含まれていることは、長所と欠点を表していると思う。来期こそJに適応できるか?現実路線に切り替えられるか?外国人FWがフィットするのを待ったり、石毛の出場時間を冷静にコントロールしていたのは、地味に偉いと思う。前者については全く報われなかったけれど。本当にリーグ優勝できると思っていたのかはすごく知りたいw
林: こういうポジショニングが良いGKを待っていた。バックパスを多用するチームなのでキック精度は向上して欲しい。
吉田:試行錯誤していることは伺えるので辛抱強く努力して欲しい。終盤戦自信を無くしているようにも見えたのは気がかり。
ヨンアピン: 今期のMVP。来期も残って欲しい、お願いします。鉄壁のストッパーにして左利きレジスタ。強いて言えば守備の際に周りをうまく使って欲しい。
杉山: 強烈なキャプテンシーを見せてくれたこと・コンスタントに活躍してくれたことは、シーズン最大のサプライズかもしれない。地味に危険回避能力が高い。ただ日本代表レベルに比べるとボール奪取やプレッシャー下でのボールコントロールに難があるか。そこまで到達して欲しい選手。
村松:長い距離を走れるのが素晴らしい。徐々に前にもパスを出せるようになってきたように試行錯誤が伺える楽しみな選手。
河井:今期の準MVP①。左右のウイングから左右のSBまで河井がこなしてくれたおかげでチームは体をなすことができた。ただ本職の中盤の前目で決定的なプレーが出来なかったことは大きな課題。実は適性は右SBなんじゃないかと思う。
大前:今期の準MVP②。せめてもう一年見たかった。見たかった。愚痴愚痴。
高木:決定的な仕事も多かったけれど、好不調の波が激しかった。あと一瞬のサッカーセンスはあるけれどサッカー脳が弱いようなそんな感じだった。そこを指摘できたユングベリの退団は、高木にとって大きなマイナスだったと思う。来期はエースとしてさらなる成長をお願い!

*1:裏への飛び出しとミドルシュートとか