2013年シーズンを振り返って

林 彰洋(14試合出場(先発:14), ゴール:0, アシスト:0, 警告:1, 退場:0)

FC東京戦以外は安定した出来だったと思う。個人的には清水の21世紀最優秀GKは今のところ彼だと思っているので、契約期間の短縮からのレンタル移籍は非常に残念。失点シーンに納得感があるGKだった。

櫛引 政敏(20試合出場(先発:20), ゴール:0, アシスト:0, 警告:1, 退場:0)

林のレンタル移籍によって急遽正GKになったことは相当な重圧だったのだと思う。それを乗り越えて終盤戦は安定したセービングを見せてくれた。守備範囲も広くなり非常に頼もしい存在になってきた。長く清水のゴールマウスに君臨して欲しい。
ただ負けん気が強いのは魅力だが、周囲の大人が色々ケアしてあげて欲しいと思う。プロとは言え、20歳の若者なのだから。

どうでもよいけれど、スカパーオンデマンドの「いつでもどこでも何度でも」はシーズン終了まで何度見ても微笑ましかったです。

イ キジェ(17試合出場(先発:16), ゴール:1, アシスト:3, 警告:5, 退場:1)

怪我で出遅れた今シーズンだったが、復帰後は不調に喘ぐチームの守備立て直しに一役買ってくれた。詳しい事情はわからないのだが、徐々にフォームを悪くしてレギュラーから降格してしまった。アウグスブルクへのトライアウトが報道されたがそれが原因なのだろうか。来期の動向は流動的のようであるが、残留であれば「死ぬ気で頑張ります」という入団前の気持ちが残っていることが前提なのかなと思う。何故か、数年後には清水の左サイドを韓国代表が疾走していると確信していた選手。
少しでも右足を使うこととボールの落下地点の予測が課題かと思う(でも何故か甲府戦のゴールは右足なんだよな~)。

平岡 康裕(30試合出場(先発:30), ゴール:5, アシスト:1, 警告:1, 退場:1)

今年のチームMVPは彼にあげたい。
今シーズンのクリア数はJ1トップと高さに強いところを見せてくれた。ただ個人的には平面でも上手いと思っているので、あまりリトリートを選ばないでも良いのにと思う時がある。
そして攻撃面ではセットプレーでニアへの走りこみから5得点。彼がいるといないとではセットプレーの期待感が全く異なる存在感だった。
ラストこそ離脱したが、シーズン通して素晴らしかったと思う。手術以降は色々大変そうだが、しっかりとリハビリを頑張ってもらって来シーズンの開幕戦をピッチで迎えて欲しい。

カルフィン・ヨン・ア・ピン(26試合出場(先発:26), ゴール:1, アシスト:2, 警告:8, 退場:0)

怪我の影響か、スカウティングか、昨シーズンのMVP級の働きからすると物足りないシーズンだった。瞬間的な裏が苦手なのかな、単純にCBのキャリアが短いのが響いているのかもしれない。警告が多いのはフィジカル系に厳しいJの笛だと致し方がない気もするが、改善してくれると非常に嬉しい。
もし来シーズン、キジェがいなくなるのであれば左SBはキャラに務めて欲しいと思っている。それぐらいH大宮戦の活躍は素晴らしかった(J初ゴールおめでとう)。もっとも、その場合は誰がCBを務めるのだという問題が浮上するわけだが。

村松 大輔(33試合出場(先発:33), ゴール:4, アシスト:0, 警告:3, 退場:0)

そのパス捌きに色々と言われるが、それでも33試合に出場し中盤を支え続けたゴトビのリスクマネジメントを象徴するような選手。もちろん守備は素晴らしいが、彼のボールカットからの攻め上がりは、右サイドを裏抜けした村田と並んでワクワクするものだった。
パス捌きについては落ち着いて蹴る際のボールの質は悪くはないので、ボールを受けるテクニックや視野の確保に難があるのかなと思っている。A広島戦で良い縦パスを決めるなど本人が努力しているのはわかるのが嬉しいが、直後の天皇杯の金沢戦で前向こうとしたら相手のプレッシャーに負けてしまい、以降そういうチャレンジが見られなくなったのは残念。
何気にカードが少ないのが素晴らしい。

吉田 豊(28試合出場(先発:25), ゴール:1, アシスト:0, 警告:7, 退場:0)

戦術バレーで持ち直したチームが選んだのは、右サイド主体の攻めであったが、そこで悪い意味で目立ってしまったのが吉田のクロスの精度。もっとも、上下移動を繰り返し、トップスピードで駆け上がって、そのまま質のいいクロスを上げるというのは非常に難易度が高い気がするので叩かれすぎた気はしている。クロスの精度はもっと向上して欲しいが、(本職だから当然という声はあるだろうが)河井や石毛と異なりボールを奪えるので守備専SBとしては及第点だったと思っている。
そのプレースタイル・風貌からは意外なことに意外にメンタルが弱く好不調の波が激しい選手で、それが出場試合数に反映されていると言って良いと思う。そろそろ中堅という年齢にさしかかり、またJリーグ通算100試合出場を達成しているのだから、経験を活かして波を減らして欲しい。

杉山 浩太(30試合出場(先発:29), ゴール:1, アシスト:2, 警告:8, 退場:0)

平岡を推したチームMVPだが、浩太にするか悩んだ。
30試合出場はキャリアハイ。今期は、ボランチとトップ下に加えて、チーム事情からCBも努め上げた。最初の数試合は不安定さを覚えたが、徐々にCBのポジションをものにし、チームのオプションを増やした。
外から見ていて、浩太を中心にチームがまとまっており、春先の連敗からの脱出には浩太の影響も大きかったのだろうなと感じる。頼れるキャプテン。
決定機に顔を出すことが多いわりに結果として1得点、そして8枚のイエローカードはここ一番の冷静さの問題のよな気もする。あと審判への当たりをもう少し柔らかくして良い気がする。意外に負けん気の塊であり、それも魅力だけれど老獪さが欲しい。

石毛 秀樹(32試合出場(先発:24), ゴール:2, アシスト:2, 警告:1, 退場:0)

本人はもっと前目でプレーしたかったのだろうが、高卒ルーキーとして32試合出場というのは破格ではないか。
体幹が太くなりたくましさを増している。ゴール前の冷静さは結果を積み上げていくことで得られるであろう。あとユース時代のプレーを知らないのだが、彼はコンビネーションで崩していくのが本来の持ち味のような気がしてならないので、周囲との相互理解が鍵になるのかなと。

河井 陽介(32試合出場(先発:30), ゴール:1, アシスト:8, 警告:4, 退場:1)

今年も様々なポジションを埋めてチームに貢献してくれた。セットプレーを含めてとは言え、8アシストは立派の一言。浦和戦のバレーへのアシストは今期の清水のベストアシスト候補だろう。
ただ10番として考えると、物足りないものがある。怪我からの復帰や様々なポジションをこなすが故の切替の難しさはわかるが、総じて前目のポジションでの積極性が足りないように映った。フィジカルに弱みがあるので大変だろうけれど。
他にも大きなミスや退場を経験したが、悔しい経験を先々に繋げて欲しいと思う。
しかし、彼のベストポジションは一体どこなのだろう?

竹内 涼(26試合出場(先発:17), ゴール:0, アシスト:1, 警告:1, 退場:0)

とても鮮烈な印象を残してくれた選手。ゲームメーカーとしては歴代清水の選手でもトップクラスの才能があるのではないか?
彼が絶対的なスタメンに選ばれるまでに成長すれば、清水はまた一つ上のクラスのチームになると思う。スペースの潰し方や球際の激しさを身につけて欲しいと切実に願う。
周囲のボールの預け方を見ていても、パスが捌けるという信頼は厚いように見えるのは嬉しい。もっと周囲に注文を出して良いと思う。目立つ結果を出せないためかデビュー当初に比べてプレーが小さくなっている気がするが、これは少しずつ実績を積み上げていくことで解決されていくのだろう。スタミナ面の向上など成長も感じる。頑張れ。
期待が大きすぎて、どうも辛口コメントになってしまう選手。

村田 和哉(23試合出場(先発:1), ゴール:1, アシスト:3, 警告:0, 退場:0)

基本的に清水の選手は皆大好きなのだが、加入当初の無謀なドリブル&アリバイ守備には、猛烈な怒りを覚えたというのが正直なところだったが、大きな変わり身を見せる。チームが彼の特性を理解したというのが非常に大きいと思う。
オンザピッチでは終盤の切り札として、そしてオフザピッチではGOODS KINGに選ばれる大活躍。Twitterマリンパルで圧倒的な存在感を見せつけてくれた。

本田 拓也(15試合出場(先発:15), ゴール:0, アシスト:1, 警告:5, 退場:0)

シーズン半ばに再加入するやいなやあっという間にスタメンの座を奪ってしまった。スペースの潰し・タックル・パス・ファールのもらい方など、中盤であれば前目でもボランチでも、現在の清水の中で一つ上のクラスの選手だと思う。そんな選手が28歳にもなってJ100試合出場を達成していないのだから、怪我があったとは言え、ちょっと回り道が過ぎたのかなと思う。今後は清水で末永く活躍して欲しい。
スタイル的に警告が多いことも気がかりだが、削られて足を痛めているシーンが多いのが更に気がかり。お陰で多くのファールを呼び込んでいるのも事実だが、選手生命と引き換えにしていないと良いのだけれど。

バレー(16試合出場(先発:16), ゴール:4, アシスト:1, 警告:4, 退場:0)

4ゴール、リーグ戦含めても6ゴールと、それまでの実績からすればやや物足りない数字にも映るが、どれも勝ち点に繋がる貴重なゴールだった。特に連敗をストップしたA鳥栖戦のゴールと、A浦和戦のゴール!
そして大きな移籍金を残してくれた。それが大前・本田・ラドンチッチの加入に繋がった。その功績はあまりにも大きい。
ありがとうございました。

高木 俊幸(30試合出場(先発:20), ゴール:6, アシスト:5, 警告:3, 退場:1)

大前が抜けてエースとして期待された今シーズン。不本意なシーズンだったと思う。
周囲からの活かされ方・周囲の活かし方・メンタル・失点に繋がる軽い守備など多くの課題が露呈した。それでも6ゴール・5アシストという数字に才能の煌めきを感じずにはいられない。
弟の加入が噂され、そして当初契約どおりであれば大前がシーズン半ばで離脱する来シーズンに、この悔しさをぶつけて欲しい。

伊藤 翔(25試合出場(先発:14), ゴール:6, アシスト:1, 警告:1, 退場:0)

飛躍の一年と言えるのではないか。そしてサブ組でも努力して結果を積み上げれば、公式戦で起用してもらえるという清水の競争を象徴する選手でもあった。
豊富な運動量と高さ、そして何気に得点パターンが豊富な点が素晴らしい。
来シーズンもぜひチームに残って欲しい。そして若手の良き見本として頑張って欲しい。

ラドンチッチ(15試合出場(先発:15), ゴール:6, アシスト:4, 警告:6, 退場:1)

待望の高さで勝負できるCFW。困ったときにとりあえず彼にぶつけるというオプションができたのは大きい。また旧ユーゴの選手らしく足元も上手いのが◎。子供が天使。
課題は守備と日本の笛への適応だと思うが、シーズン終盤戦は結構守備でも動けていたので、キャンプから合流してコンディションを上げられればかなり出来るのではないか。一方で日本の笛への適応という点、痛みに弱い点が、ちょっと審判の心象を悪くしているように思う。痛いのだろうが、ぐっとこらえて欲しい。
所属チームとの交渉が良好なものに終わりますよう。

大前 元紀(14試合出場(先発:14), ゴール:7, アシスト:4, 警告:2, 退場:0)

復帰直後のAC大阪戦は流石に動けなかったが、以降はエースと呼ぶにふさわしい活躍。判断の早さとキープ力が印象に残った。天皇杯の仙台戦に彼が欠場したのは返す返すも残念。
周囲の誰もが彼の契約延長や再移籍を願っていると思う。高木善朗の移籍が噂されるのはその交渉の難しさ故だと思うが、フロントの粘りとデュッセルドルフの寛容を期待したい。

八反田 康平(6試合出場(先発:2), ゴール:1, アシスト:0, 警告:0, 退場:0)

今シーズンを最も不本意に思っているのが彼ではないか。昨シーズン9試合先発出場した選手が、怪我があったとは言え、わずか6試合の出場に終わってしまった。
前目でプレーするにはフィジカルや突破力が、後ろでプレーするには守備力が足りない印象。
アイデアがあって判断も速く、このまま埋もれるには惜しい選手であることは間違いない。期限付き移籍も視野にというのはわかるし賛成する。その際は有意義な経験を積んでまた戻ってきて欲しい。

六平 光成(7試合出場(先発:4), ゴール:0, アシスト:0, 警告:0, 退場:0)

仙台戦で上々の結果を残したが、その直後に中断期間に入ってしまったのが痛かったか。トラップからのボールの置き方は中盤ではNo.1かもしれない。
ただ絶対的な王様として振る舞えるチームであるならばともかく、今の清水では自分が使われるプレーや守備で粗が目立つ印象。
それでもそのテクニックは押し込まれる展開でもう少し試してみて欲しかったという思いがある。

岡根 直哉(3試合出場(先発:1), ゴール:0, アシスト:0, 警告:2, 退場:1)

悪夢の広島戦を乗り越えて、終盤戦に起用されたのはポジティブな要素と思われたが、守備陣のレギュラーがごっそり消えた最終戦で出番がなかったのは痛い。
彼を見ていると、誰が悪いという話ではなく、CBの育成というのは難しいものだと思う。

内田 健太(2試合出場(先発:1), ゴール:1, アシスト:0, 警告:0, 退場:0)

大宮戦で結果を残した割にはその後出番に恵まれなかった。
守備が問題視されているのは間違いないので、頑張って磨いて欲しい。セットプレーの左足とロングスローという武器がチームに加わる日を楽しみに待ちたい。

イ ミンス(4試合出場(先発:3), ゴール:0, アシスト:0, 警告:1, 退場:0)

序盤戦は起用されたが、連敗の戦犯となってしまったのか、以降出番なし。豊富な運動量と仕掛ける気概はとても面白いと思うし、継続して起用すれば伸びてくると思ったのだが、サブ組であろうと伸びてこないとダメなのだろう。
個人的には、2シーズンぐらいスタメンで出れそうなチームに期限付き移籍をしてもらいたいと思う選手。

三浦 弦太(2試合出場(先発:0), ゴール:0, アシスト:0, 警告:0, 退場:0)

高卒ルーキーが途中出場とはいえ2試合出場機会に恵まれたのは、決して良くはないが悪くもないのではないか。
CBというミスが失点に結びつくポジションで若手が成長するのは、本人にとってもチームにとっても難しい話だと思うが、ぜひとも順調に成長して欲しい。
ラドンチッチJr.に勝ちロコMVPを奪われてしまったが、キャラクターの面でも期待。

高木 純平(7試合出場(先発:3), ゴール:0, アシスト:0, 警告:0, 退場:0)
廣井 友信(3試合出場(先発:0), ゴール:0, アシスト:0, 警告:0, 退場:0)

出番が少なかったのは不満だろうが、彼らのような存在がチームを支えてくれているのだと思う。
高木は、仕掛ける意識という点では、若手に非常に見習って欲しい選手。

瀬沼 優司(9試合出場(先発:1), ゴール:0, アシスト:0, 警告:1, 退場:0)

開幕戦のA大宮戦で劇的に流れを変えてくれた時はとても期待したが、結局、その大宮戦でゴールを決められなかったことが、今シーズンを決めてしまった気がしないでもない。心を強く保って努力を重ねて欲しい。

犬飼 智也/白崎 凌兵

彼らの期限付き移籍は大成功だと思う。将来の清水を担うタレントである2人が実戦経験を積めたのは喜ばしい。
犬飼の来シーズンはどうなるのだろう?戦力として決して不要ではないと思うが、可能であればもう1シーズン松本で頑張ってもらって彼個人の経験値を積んでもらった方がトータルでチームの為になる気がする。
白崎は運動量とかオフザボールに磨きをかけて帰ってきて欲しい。来シーズンはかなり重要な1年になると思う。