2014年シーズン第6~8節振り返り

Jリーグで初対戦となる徳島戦は0-4で快勝、これでリーグ戦3連勝、公式戦4連勝となりました。5節の手痛い敗北からずるずると落ち込むこと無く、勝ちを重ね這い上がったことは素晴らしいと思います。

この3連戦で興味深かったのはゴトビの采配。終盤5バックでなりふり構わずに勝ちを掴みに行った甲府戦、ギリギリまで選手交代を遅らせた大宮戦、そして廣井を投入した徳島戦と、選手のメンタルを気にかけていることと目先の勝利だけを追い求めているわけではないことがよく伝わるものでした。

ピッチ上のことで大きな変化は、デッキーことヤコヴィッチの右SBでの起用とそれに伴う河井の前目起用、そして俊のスタメン落ちでしょう。
裏を取られても追いつけるスピードと屈強な肉体、そしてボール奪取能力を兼ね備えるデッキーの起用は明らかに守備の安定をもたらしました。CBでの起用には戦術理解度やチームへの不慣れが懸念されていましたが、右SBに関してはその面の心配が少なく起用することができます。もちろん攻め上がりのクオリティについては他のSBを務めた選手たちに比べて一枚以上落ちるわけですが、新たなポジションに意欲的に取り組んでいる姿勢が伺えるのは喜ばしいことです。キャラと平岡とで3バック的な形を作ることも多いですが、安心感があります。

一方で、新しい選手がスタメンに入れば、スタメンから弾き出される選手がいるわけで、それは俊でした。怪我というエクスキューズはもちろんあるのですが、彼は攻撃の最終局面以外ではとかく消えがちなので妥当な選択だったのかなと感じてしまいます。徳島戦の後半45分間に出場し1G1Aと数字を残しましたが、残念ながらスタメンは遠のいたというのが正直な感想です。ゴールに結びつく選択肢以外には興味を示さない球離れが悪いプレーで、守備面でも貢献できませんでした。攻撃の最後のところで光り輝く彼の才能は素晴らしいと思います。徳島戦のゴールもGKとの1対1を冷静に沈めました。ただそれ以外での繋ぎや他人を活かす動きになかなか改善が見られないのはもどかしいですね。現状のチーム状態を考えると、同じく守備免除のノヴァが欠場しない限りスタメンの座は遠いのかなと思います。

継続スタメン組ですと竹内・六平のボランチコンビが頼もしいです。六平は一気に駆け上がりましたね。今のチームはデッキーを起用している関係上、左からの攻撃が多いのですが、結構な割合で右の竹内が起点になっているように竹内も良いです。また当初は多く見られたDFラインの前に二人が張り付くような状態も、状況に応じて片方が前目に上がる形が増えてきました。守備や運動量に課題はありますが、試合を重ねる毎に良くなる彼らの成長を見守りたいです。
しかし、シーズン前で浩太と本田が出遅れなかったら、PSMで村松が退場にならなかったら、今のチームはどんなだったのでしょう?特に村松の退場は大きく彼の立場とチームを変えてしまったように感じています。ゴトビの頭の中で村松は今どういう序列なのでしょう。チームに数多いMFですが、一際タイプが違う彼の力が必要になる時がやってくると思うので腐らず準備をして欲しいものです*1
他には素早いスローインを行い確実にマイボールにすることが増えたことや、守→攻の繋ぎで、簡単にボールをロストすることが減ったことも良いですね。

次節こそ相性の良いH仙台戦ですが、その後は鹿島、鳥栖、新潟、広島、神戸と中断期間まで上位チームとの対戦が続きます。仙台~広島戦は2週間で5試合をこなすハードスケジュールです。下位チーム相手に浮上のきっかけを掴みましたが、この連戦でチームの真実の力が問われることになると思います。一つ一つ集中して戦っていって欲しいです。

長沢駿

とここまで書きなぐって後で推敲しようと思って寝かせていたら、昨日、長沢の怪我が全治8ヶ月と発表されました。呆然としましたし、落ち込みました。
チームとして非常に痛手です。相手関係もあるのかもしれませんが、長沢の最近の試合での空中戦勝率はかなり高かったと思います。またフリックも上手く選択することが出来るようになり、コンディションが上がってきたのでしょう守備も開幕時より効果的になってきていました。彼不在の徳島戦の後半でなかなかボールが運べなかったように、最近の連勝は彼を含めてチームの形が出来上がってきたからこそのものでした。
そしてそれ以上に彼個人にとって痛手です。今月号のエスパルスニュースのインタビューにあるように、J2でスタメンを掴めなかった彼がチームに戻ってきた、キャンプ開幕時は控え組、おそらく今年がラストチャンスの年でした。そこから少しずつ実績を積み上げての開幕スタメン、J1初ゴール、そしてチーム戦術の要となった矢先の今回の負傷、その胸の内は察するに余りあります。努力の結果がこれでは酷すぎます。
不幸中の幸いなのはここまでの活躍で、来年以降もチャンスはありそうだということでしょうか。ゴトビは「ナビスコの決勝に行くから、その試合にお前が出て点を獲れ」とらしい言葉で慰めたそうですが、(もちろんそうなれば嬉しいですが)まずはゆっくり焦らず怪我を癒して欲しいと思います。そしてまたピッチ上で活躍する日を待っています。

短評
GK 櫛引 あからさまなミスが減ってきたのは喜ばしいこと。徳島戦では待望のPKストップ。大きな大きなセーブ。
DF デッキー 上述のとおり彼の右SBがチームに安定をもたらした。PA内に飛び込んできた相手とも互角以上に競ることができるのも良い。
平岡 彼が孤軍奮闘するような試合が減ってきて目立たなくなってきていることもチーム状態が良くなっている証拠。でもゴールを決めて目立っても良いのですよ?
キャラ 徳島戦でこそPKを献上したが、安定した出来。ボランチコンビは結構彼に助けられている。
吉田 徳島戦はフォローできないけれど、大宮戦のクロスの質は及第点だったと思うし、MVP級の活躍だったと思う。これでもう少し守備面の波を少なくし、PAファーサイドで人をキチンと捕まえられるようになれば。
廣井 大怪我からの復帰。おかえりなさい。
MF 六平 お見事。彼のウェイティングして引っ掛けるような守備が好き。なかなか他に見られないと思う。CBの経験は無駄ではなかった。
竹内 ゲームメイクは良いし、彼が攻め上がると期待感が高まる。良い守備も増えてきた。課題は疲れてきた後半のポジション修正か?
河井 繋げる・飛び出せる・ファールを貰える・バランスを取れると、インテリジェンスを披露。後はPA内で数字を残せれば。
大前 背番号10に相応しい圧巻の出来。運動量豊富で好守に貢献し、ゴールとアシストを量産中。大宮戦のゴールで気持ちが楽になったんだろうね。
村田 スタメンで出たいのだろうけれど、彼がベンチにいる頼もしさと出てきた時の期待感は凄い。
FW ノヴァ 落ち着きと技術の高さを示し続けている。ボールキープの選択肢が増えたのもチームを助けている。

*1:浩太と本田はほっといてもどこかで出番がある気がします。