2014年シーズン第12節 アルビレックス新潟 vs 清水エスパルス

まさかまさかの結末で3連敗、勝ち星的にも負け先行となり、しんどい状況です。

長沢不在後に色々と試行錯誤していますが、この試合の亜人夢1トップはその中でももっともしっくりくる感じがありました。献身的に動けること・スペースやギャップで受けられる選手の方がハマる気がします。彼のような選手がいれば落ち着いて試合を進められますし、後半、運動量が減ってオープンな展開になったら攻撃に特化した選手の投入というプランが成立しやすいと思います。

ただ連戦のダメージが大きいですね。後半始まってすぐに全体的に動きが重くなった印象を受けました。中でも違いを見せるべき大前とノヴァの二人が前半から際立って悪かったです。大前はこれまで物凄い運動量でチームを引っ張っていただけに反動が来たのかなという印象、ノヴァはもともと夏場に弱いなどスタミナ面で不安があった選手で、それぞれ致し方がない感があります。代役の選手がいない(一発のある彼らをピッチ上に残したかった)という判断なのでしょうし、仮にいたとしてもそこまでの総とっかえはできないという判断なのでしょう。決めるべきチャンスで決められないことも痛かったですが、彼らがボールを収めたり、1対1や1対2を制することによって、ボール運びやチャンスメイクをしていただけに苦しいですね。特に大前の場合は彼の運動量とクオリティが吉田の運動量とともにチーム戦術の軸となっていただけに辛いものがあります。

それらを加味しても特に前半は悪くなかったと思います。過去の新潟戦は相手のプレスにハマって、ショートカウンターを喰らい続けるという展開が多かったのですが、ロングボールを織り交ぜながら相手ゴール前までボールを運べていましたし、チャンスも作れていました。その中で先制点を取れなかったことが尾を引いた印象です。
早い時間に先制されてから同点に追いつくまでの鹿島戦と後半に先制されるまでの鳥栖戦と新潟戦は、内容的には厳しく見ても4対6ぐらいで清水がちょっと悪いというもので、五分に戦えていたと思うのです。ちょっとの運や一つのプレーで先制出来たと思います。ただ現実には3戦とも先制され負けています。先制されることは試合展開として厳しいのはもちろん、スタミナ面でも厳しい物があります。果たしてこれは偶然なのか必然なのか。ちょっと大胆さが欠けていたり、大事にしようという意識が強くなりすぎている気がします。ただ、それも今のやり方での実績が少ないためにチームに確信を持てないという面があると思うので致し方がないは致し方がないのですが…。

収穫は亜人夢のところと、廣井投入が結果を残せたことでしょう。少なくとも次の試合には亜人夢をもう一回試して欲しいです。効果に半信半疑だった廣井の投入もこれで一つのオプションとして認知されたのではないかと思われます。ただ同点弾の後、全体の意思統一とリスクマネジメントができていなかったことが悔やまれます。キャラは責められません(もっとも彼がヘディングも上手く強くなってくれればとても嬉しいですが)。

この状態で次節広島戦が今週末にあるのはキツイですが、可能な限り疲労回復に努めてもらって挑んで欲しいと思います。

短評
DF キャラ 近くにいればハグしてあげたい。オウンゴール以外は獅子奮迅の働き。数少ない連戦でコンディションが落ちていない組。
吉田 前節に引き続き途中交代。試行錯誤モードに入って、思い切りの良さが影を潜めている感。伏線として単純なクロスも織り交ぜても良いと思う。早く成功体験が欲しいところ。
MF 河井 数少ない連戦でコンディションが落ちていない組②。このままキレを維持して欲しい。
大前 普段抜けるところで抜けない。普段決められるところで決められない。一回休ませたいところだが、代わりがいない。
FW ノヴァ パスミスが多すぎた。
亜人夢 前半飛ばし気味に入った為、後半は存在感を失う。ただそれで良いと思う。
新潟 レオ・シルバ 単純なボール奪取能力にとどまらず、高い戦術眼と危険察知能力、誘いこむプレー…、引き出しが多すぎる。ただこういう選手が敵であっても同じリーグにいることは素晴しいこと。六平・竹内などは彼を目指して頑張って欲しい。

2014年シーズン第11節 清水エスパルス vs サガン鳥栖

連戦3戦目はGWのホームゲーム、大勢の観客の前で勝利を得て欲しかった試合ですが残念ながら敗戦、上位との距離も開いてしまいました。

試合は球際の激しい展開の中でお互いが攻め合うという面白い内容で進んだのですが、前半終了間際に鳥栖が素晴しいミドルで先制、すると後半は重心を下げた鳥栖を相手に有効な攻め手を見いだせず、見ていてもどかしい、正直退屈な内容に終始してそのままタイムアップというものでした。もし清水が先制していれば全く逆の展開になっていた可能性は高かったと思いますし、それまでハードに戦えていただけに、失点シーンのチーム全体の緩さが悔やまれます。過剰なまでにタフな主審の基準も清水にはマイナスに作用しました。

言っても詮無きことですが、長沢の不在は大きいです。決定機を二度外したようにノヴァも空中戦に強い選手ではないので、今の選手ですと単純なクロスを上げてもあまり可能性を感じません。前節に続いてバイタルエリアでの鋭さ・アイデアの欠如を、セットプレイでの可能性の低さと共に感じました。
そもそもベストの布陣を見いだせていない感は強いです。この試合は村松をアンカーにした4-1-4-1でしたが、機能していたかと言うと微妙でした。六平・竹内が後ろの守備が上手い選手ではないので、村松のフィルターが剥がされると途端にピンチになる感じです。また攻撃面では、個人のコンディションの問題かもしれませんが、大前がそれまでの試合に比べて精彩を欠いていたのは、ポジションチェンジがあまりできなかったことにもあるのではないかという感じがしています。六平・竹内、特に六平ががトップ下を務めると流動性は確保できない感があります。そういう選手たちでは無いですから。

石毛がこの時期に離脱しているのも痛いです。彼がいればすんなりトップ下に入っていたような気がします。こうなってくると、純平や亜人夢のように個の力では劣っても、隙間やスペースでボールを受けるのが得意な選手を試して欲しい気もしてきます。善朗は何故試されないのでしょうか。きっと見ている人達にはわかる明確な理由があるのだと思っているのですが、コンディションなのか、戦術理解なのか、守備力なのか。結局、外野がどうこう思っても近くで見ているゴトビの選択を支持するだけなのですが、色々と煮詰める時間が無いという意味で、このタイミングでの連戦というのは辛いですね。

というわけで明日は天敵新潟戦です。正直、このタイミングでの対戦は避けたい相手ですが、なんとか勝ち点を持って帰って来て欲しいものです。

2014年シーズン第10節 鹿島アントラーズ vs 清水エスパルス

勝てば首位の鹿島を勝ち点で上回れる試合でしたが、残念ながら敗戦となってしまいました。

敗因の一つは、鹿島をリスペクトしすぎた・自分たちに自信を持ちきれなかった点があると思います。
村松のトップ下の起用や選手のナーバスな表情など、監督・選手全体で、今までの対戦相手とは鹿島は違う、今のチーム状態で通じるのか半信半疑だったのではないかと推測します。その気負いがマイナスに働いて、立ち上がりから押し込まれ先制を許しました。

村松のトップ下起用は、守備を重視したもので後半勝負というプランだったと思いますが、早すぎる失点でプランが崩れたこと・追い付くためにハイペースで飛ばしたことが勝負の明暗を分けた気がします。仕方がないことですが村松のトップ下では攻撃面で不満が出ますね。興味深いのは失点した時点で村松ワンボランチの4-1-4-1にするかと思ったのに、それを行わなかったことでしょうか。この試合限定の奇策と思ったのですが、ゴトビは一つのオプションとしてみなしているのかもしれません。あるいはメンタル面の考慮なのでしょうか?

それでも(鹿島がボール保持を放棄した感がありますが)15分以降、長く自チームの時間を作れたことや、一度は追いついたことは大きかったと思います。チームの見せた精神・内容は素晴らしかったと思います。決定機の数から言って鹿島勝利の結果はフェアだと鹿島ファンは思うでしょうが、勝ち点1以上を取るに相応しい展開・クオリティは示せたと思っています。主審の判断が的確だったこともあると思いますが、球際が激しく面白い試合でした。ただ前半から飛ばしたため、最後はガス欠でしたね。

にしても鹿島はさすが首位というチームでした。最終ラインは強く、バイタルで鋭く、きっちりとセットプレーをものにする。後者の2つは清水との差を感じました。バイタルの鋭さは長沢不在に慣れていくに従って改善されると思いたいのですが、高さのある選手が増えた割にCK・FKからの得点が伸びないのは辛いところです。この試合では大前のキックの質が良かった割に惜しいシーンをさほど作れませんでした。これって何をどうすれば改善できるものなのでしょう?

いずれにせよ下を向く敗戦ではなかったと思います。首位を相手にしても戦えるということを示しました。これを自信として残りの連戦を一つずつ戦っていって欲しいと思います。

最後にTBSチャンネルは、何故、無意味な選手のアップを多く放送するのでしょう?選手のアップから切り替わった瞬間に試合が次のシーンに移っているということが多々ありました。改善をお願いしたいですね。

短評
GK 櫛引 2失点も安定していたと思う。
DF デッキー・平岡・キャラ 個人の技術や戦術眼の高さを示した試合だったと思う。特にキャラは敗戦ながらMVPに選ばれてもおかしくない出来だった。
吉田 素晴らしい運動量とイマジネーション。今のシステムのキープレイヤーは大前と彼だと思うが、これだけやってくれると頼もしい。この試合がスタンダードになるよう努力を重ねて欲しい。
MF 六平・竹内 悪くはなかった。ミドルシュートも練習しよう。この二人がどこまで伸びるかは本当に楽しみ。
村松 攻撃面でやはり辛いが、ミッションは遂行した。ただボランチの方が守備でもやりやすそう。
河井 対面の山本を圧倒したが、カイオがフォローに来るようになって勢いを失っていく。それでも前半の功労者の一人。
大前 いつもどおりチームを牽引。セットプレーは報われて欲しかった。
FW ノヴァ 同点ゴールはさすがのクオリティ。ボールキープでも味方を助けた。ビルドアップ時にオフサイドポジションに立っていることが多い、意図はわからないでもないのだけれど、もう少し動き直しをして欲しい。でないと一発のスルーパスが成立しない。本質的にワントップの選手ではないのだろう感。
同点ゴールのアシストは素晴らしかった。ただ2失点目以降は、途中出場の彼にこそディフェンスを引っ張って欲しかった。
村田 投入されて即失点では輝けない、不運な展開。ただ俊と同様、鹿島に落ち着いたボールキープをさせないようプレッシャーをかけ続けて欲しかった。