2014年 前半戦を振り返って

2014年シーズンも中断期間を迎えました。今シーズンも悲悲悲喜こもごもなシーズンとなっていますが、感じたことを書いていこうと思います。

まずナビスコカップの最後2連戦での無残な姿が気になっています。同じ一方的・大量失点で負けるにしても負け方があります。あの2試合はチームがバラバラになってしまうような感じがありました。単純なコンディション不良、あるいは譲っても自信の喪失であれば良いと、文字通りチームの崩壊でないことを願いたいと思います。そして中断期間にリフレッシュして、再始動をして欲しいと思います。

気になることといえば、相変わらずコミュニケーション不足です。Sの極みを読んでいると、監督⇔選手間のみならず、選手⇔選手間のコミュニケーションも不足しているように思います。ナビスコ鳥栖戦の解説で戸田和幸が「パスミスの後にお互いが要求せずに背中を向けてしまう」というような指摘をしていましたが、なるほど的確です。
ゴトビは緻密さがない(決まり事が少ない)監督です。もちろんその方法にはメリット・デメリットがあるのですが、デメリットについてはゴトビもリスクとして承知していると思います。ただ、それをコミュニケーションで乗り越えて欲しいと思っているのではないか?監督⇔選手間・選手⇔選手間を問わずコミュニケーションが不足しているとは思っていないのではないか?そんな疑念を感じてしまいます。最近ピッチ上で叱咤するノヴァをよく見ますが、これが良い方向に繋がって欲しいです。

中断期間中に取り組んで欲しいのは一番は夏場を乗り切るフィジカル作りですが、前プレとカウンターも整備して欲しいです。遅攻も整備できれば嬉しいですが、新しい選手 or 時間が必要そうですし、ラインはもう下げることを良しとしないでしょうし、でもショートカウンターに関してはできるタレントが揃っていると思います。ただ現状では、奪えない時はまったく奪えませんし、カウンターの成功率というか決定機が少ない気がします。少なくとも「ボールを回す相手に対して「どうやって追うか」っていうのがチームとして決まっていない」なんていうコメントが試合後に出てくるのは監督だけの問題じゃなくてチームとして恥ずかしいと思います。
後は中断前に色々と個人の力量不足を感じたと思うので、各人長所を伸ばすなり短所を鍛えるなり努力して欲しいと思います。これは気長に見守りたいと思います。

短評。
GK 櫛引 チームが悪い時にこそ輝くのが優秀なGKだが、今シーズン、彼に救われた試合というのが思いつかないのが悲しいところ。昨シーズンのデビュー当初の方がパフォーマンスが良かった気がするのは何故だろう?多分重圧の違いだと思うので、最低でも今シーズンは黙って見守りたい。
相澤 チームが下り調子のところで使われるがアピールならず。貴重なベテランなのでGK陣のとりまとめも頑張って欲しい。
DF デッキー シーズン前の出来から、当分使われないだろうと思われたが、まさかのSB起用で登場。相手がボールを持った時の1対1には無類の強さを発揮するが、ボールを持っていない状態だと離しがちで、終盤崩れてきたのはコンディションだけの問題では無く、そこら辺をスカウティングされたからという気がする。なんとか改善して欲しい。攻め上がった際の不安定さは当分目を瞑る。
平岡 前半戦のMVP候補①。ゴトビの下でもっとも成長したのが彼なのかもと思う。キャラやデッキーのフォローを黙々とこなす。ロングパスやドリブルなどプレーの幅も広がってきている。
キャラ 前半戦のMVP候補②。六平・竹内でやれているのは、彼が前方に強いからだと思う。怪我が癒えたからなのか昨シーズンより断然良いパフォーマンス。怪我なくカード無く、このまま乗り切って欲しい。
吉田 長沢健在の頃は、彼と元紀のポジションのスライドと運動量がチームの軸だった。その割には数字を残せていないのが残念なところ。よく言われるクロス精度よりも、その手前の判断のスピードと質が悪い気がする。欠点の一つであった好不調の波は少なくなってきた気もする。傍で見ていて、それほど悪くない時でも途中交代させられることがあるのは不思議。本人は交代の理由はちゃんとわかっているのだろうか?確認しているのだろうか?
廣井 彼のようなベテランが黙々とチームのために戦ってくれているのは本当に有難い。
MF 竹内 相手を食いつかせるゲームメイクが素晴らしい。守備も実効性が上がってきており、特にタックルが上手くなった。一方で、チームが悪い時に消えてしまうのは変わらず。そしてバイタルで選択肢と思い切りが少ないのは改善点。消えてしまうことについては、前を向いてボールを持てれば圧倒的な存在感を見せつけられる選手なので、存在感がないのは前を向いてボールを受けられていないということだと思う。ポジショニングと運動量を磨こう。ウナギのようなドリブルが最近見られないのはキレの問題?意識の問題?指示?あれ、好きなんですけれど。
六平 文句なしの前半戦の新人王。テクニックに定評はあったが、守備や動きの質が大きく改善して外せない選手になってきた。スピードもあり、またサイズもそれなりにあるところがチームとしては嬉しいところ。六平ファンでもある我が奥さんが「見え見えのところに出すぞ出すぞってパス出してカットされることが多い」という鋭い指摘をしていた。言われてみると確かにそういうの多い。
河井 今シーズンもMr.マルチロール。しかし待望の前線をやってみたら意外にバイタルでイマジネーションと精度がなかった(感覚を忘れてしまっていた)のは残念。なんとか超特急で勘を取り戻して欲しいところ。地味ながらもプレーのアベレージが高いのがありがたい。愚痴キャラも面白いけれど、そろそろリーダーシップや我を発揮してよりチームにコミットしていって欲しい。
浩太・本田 彼らのような経験も実力もある選手たちのコンディション不良が苦戦の一端。再開後はポジション争いを頑張って欲しいし、ガンガンプレーして欲しい。本田は監督と不仲とかではないよね?ね?
村松 ピーキーな能力の持ち主なので、前半戦のフットボールだと出番は厳しい印象。カウンター主体になれば出番ありそう。PSMのレッドカードが、ここまで響くとは思いもしなかった。
石毛 結果論で言えば、今シーズンはレンタル移籍するべきだった。このままだと真希の二の舞いになりそうで心配。しかしトップ下を欲しがるJ2チームってあるのかしらん?
FW 大前 前半戦のMVP候補③。多分、日本代表入りを真剣に目指していたんだろうな。その為もあって飛ばし気味に入った3~4月のキレと運動量は素晴らしかった。5月に入って急激にコンディションを落としてしまったが、それでも欠かせない選手だった。そう考えると岩下に怒鳴られながら守備していたのも今に繋がっている。最終戦は嫌な終わり方をしてしまったが、完全移籍も果たしたことだし心機一転して再開を迎えて欲しい。
ピーキーな能力の持ち主②かつ好不調の激しい天才。今のところ、今年も変わらないなという印象。切実に何かもう一つ武器が、レベルアップが欲しい。
ノヴァ 暗殺者の本能を持ったストライカー。決定機での落ち着きと足元の技術は素晴らしいの一言。一方で3~4回はヘディングシュートがポストやバーを叩いており、彼にちょっとの幸運や技術があれば、実は色々と変わっていた気もする。彼については、動けないことは仕方がないし、高さに強くないのも仕方がない、ポストプレーとゴールで貢献してくれればという信仰なのか諦めなのかよくわからない心境になっている。夏場はなんとか頑張って欲しい。あるいは休む勇気を持って欲しい。そう考えると予想される冷夏は彼には有難いのかもしれない。
長沢 前半戦のMVP候補④。彼の空中戦の強さや、黙々と潰れ役や守備をこなす献身性がどれほどチームを救ってくれたか。焦らず戻ってきて欲しい。待ってる。
村田 ピーキーな能力の持ち主③、オフザピッチの帝王、栄えある初代イケメン。得意の形に持ち込めば右サイドを蹂躙する一方で、中盤の繋ぎや守備は不安定。六平の例からすると、そのうち練習試合でボランチ起用されたりするんじゃないだろうか。スタンドが期待している稀有な選手なので、もっとゴトビに使いたいと思われるよう日々頑張って欲しい。
善朗 コンディションなのか、日本への適応に手間取っているのか、守備の実効性の問題なのか、おそらくその全ての理由でほとんど出番がなく、ここまででもっともファンの期待を裏切った選手と言えると思う。ただボールを持った時の雰囲気はあると思うので、後半戦の巻き返しに期待。
鍋田 継続して使われないと良さが見えづらいけれど、使われるためにはわかりやすい武器がないという困った状況。前半戦のフットボールだ適していない感。どこかレンタルして欲しい気もする。

2014年シーズン第14節 清水エスパルス vs ヴィッセル神戸

前節に続き数多あるチャンスを1度しかものに出来ずに悔しい引き分けでした。

誰もが指摘するようにチャンスを逃したのは、最終局面の精度の問題でした。基本的なスキル不足という面もあるのでしょうが、コンディション不足・自身(余裕)の欠如といった側面も大きかったように思います。

長沢の離脱後、試行錯誤したスタメンですが、どうやら竹内トップ下・六平と浩太のダブルボランチで落ち着きそうな感じです。この組み合わせでは負けてはいませんし、チャンスも多く作れています。(他の攻撃的な選手を起用した場合に比べての)守備の安定と中央からの攻め手があるのがいいですね。前プレも効果を上げていますし、観ていて楽しいフットボールを繰り広げていると思います。
勝ち切れないことや、降格圏まで勝ち点3に迫まっていることもあり、不安に思うのかもしれませんが、チームにはぜひ勇気を持って継続をして欲しいと思います。また選手たちはコンディション作りにとどまらず、ここまでで感じた課題に向き合って欲しいと思います。

リーグ戦は中断期間に入りますが、ナビスコの連戦が残っています。現状の継続発展とこれまで出場機会の少ない選手たちの見極めが行われるかと思います。両方を遂行するのは難しいことですが、今のチーム状況はそれを必要としていると思います。特に出番の少なかった選手たちの奮起を期待したいです。

短評
GK 櫛引 これも試練。
DF デッキー ときどき間合いを開けすぎる気がするが失点シーンもそんな印象。現状では人に張り付くSBが適職なんだろう。
キャラ この試合ではロングスローの質がライナー性でいつもより可能性を感じた。
MF 六平 珍しくボールが脚についていないように感じた。それでも好守の切替が早く守備面での貢献を見せており、改めて成長と重要性を実感。
竹内 前半は素晴らしい出来。どれだけ前を向いてボールを持つ機会を増やせるかが勝負。
浩太 まさかセントラルMF枠の選手で彼が最初にゴールを決めるとは。大きな同点ゴール。
好不調の差がハッキリしている選手だが、この試合ではキレていた。セットプレーで狙いに変化を付けられなかったのは残念。
大前 不調続行中。中断期間まであとわずかなのでなんとか踏ん張って欲しい。
神戸 海人 昔はクロスの対応が不安定というイメージがあったが、恐ろしく安定していた。

2014年シーズン第13節 サンフレッチェ広島 vs 清水エスパルス

TVでザッケローニが抜かれる度に、傍らにあった飲み物がサッカー日本代表公式飲料である午後の紅茶でなかったことが気になって仕方がありませんでした。
3連敗の後に迎えたディフェンディングチャンピオン広島との一戦ですが、兎にも角にも引き分けて連敗をストップし、勝ち点1を持ち帰ることに成功しました。多分ですが、先制点を奪われて負けなかった試合というのも今季初のはずです。

前半は言ってはなんですが退屈な45分でした。5-4、5-3でブロックを作りロングボールを繰り出す広島に有効な攻め手を見いだせませんでした。そして先制点を奪われてその流れは加速しました。正直、ハーフタイムではこのまま残り45分も同じような流れが続いて負ける可能性が高いと感じました。
この試合の日替わりスタメンは、竹内トップ下の浩太・六平のダブルボランチでした。キャプテンの復帰は嬉しかったのですが、竹内の適性はトップ下よりボランチではないかという思いが近頃強いのでスタメンにはちょっと複雑な印象でした。前半の竹内はトップ下というよりもちょっと高めのMFという感じでしたね。今思うに、真ん中を細かく繋いでチャンスを作ろうというより、前半をロースコアで折り返したかったのでしょう。

そして前からプレスを掛けにいった後半、過密日程による疲労・夏かと思うような日差しは両チームにダメージがあったと思いますが、よりしんどかったのは広島の方でした。繋げない相手に大前・竹内のボール奪取からノヴァが決めて同点、前半を折り返した時の印象や、竹内トップ下に対する疑問、そしてノヴァと大前のコンディションに疑問を呈していた自分の立場は一体…というシーンでもありました。もちろん良い方に予想が裏切られるのは大歓迎です。

惜しむらくは、その後に山のようなチャンスを作りながらも決めきれなかったことでした。結局、GKを除くと廣井しか守備的な選手がいないベンチ(その廣井もパワープレー要員だったりする)という攻撃的なベンチメンバーを揃えたにもかかわらず*1、2枚目の選手交代は88分まで待つことに。リアルタイムで観ていて非常に疑問を覚えたのですが(自分だったら遅くとも75分には、大前・ノヴァを亜人夢・村田に替えていました)、ゴトビは連敗ストップということに勝ち点3奪取よりも重きを置いていたのでしょうね。このタヌキ(not 大前)がと思ってしまいますが、甲府戦の5バックといい3年以上日本で過ごしてきて日本人選手のメンタリティを学んだ上での結論なのだとも思います。それに何だかんだ言って交代前の状況でチャンスを作れていましたし、アディショナルタイムでの村田→大前の交代をワンプレー遅らせたように、守備力を重視したのでしょう。控え選手はヘロヘロの大前の方が自分より守備力を評価されていたことに発奮して欲しいなと思います。

次節はリーグ中断前の最後の一戦です。なんとか勝ってもらって、気持よく中断期間を迎えて欲しいと思います。

更に雑多な感想

広島との試合を観て、今の清水は難しいことにチャレンジしているのだなぁという思いを強くしました。ブロックを作ってミスを待つのではなく、より積極的にミスを誘う、ボールを保持しようとする。選手的には、SBさえ揃っていれば清水の目指すフットボールは広島の方が出来そうですものね。一方で欧州の歴史を見ても、ブロックを作って守る戦術をテクニックと攻撃戦術がそれを凌駕していったと思うので、清水の今後には期待したいです。
難しいことをやっているから優勝争いに絡まなくても良いとか残留争いに巻き込まれても良いとは欠片も思いませんが、今のフットボールでもそこそこやれているのは実は悪くないんじゃないかとか、もう少しどこかが改善されれば一気に花開いたりしないかなぁなどと考えたりしました。希望がないと辛いというのもありますが。

短評
GK 櫛引 失点シーンはノヴァが応対したのに何故飛び出したのか。彼は意外とナーバス。
DF デッキー ボールを持った際のドキドキ感は激しいが、守備では圧倒的な強さを見せた。MVPは彼だと思う。先の話だがレナトとのマッチアップが楽しみ。
平岡 後半の攻め上がりにはビックリ。一つ引き出しが増えるか。
キャラ 前半は妙にパス出しで相手に引っかかることが多かったが、その後は安定したプレー。
吉田 ミキッチに手を焼き優位を築かれる。ただキャラのフォローも使って、なんとかイエロー一枚で抑える。
MF 浩太 スペシャルなプレーはなかったが、ここから上げていって欲しい。
竹内 あの決定機はせめて枠に飛ばして欲しかったが、これも経験。
河井 彼のプレースキックは何なのだろう?妙な期待感がある。怪我が軽症でありますよう。
大前 やはりキレを欠いていたが、それでもあれだけやれちゃうのが難しいところ。運も味方しなかった。
FW ノヴァ 毎度のことながら同点ゴール時の落ち着きは流石。味方に怒鳴りまくっていたのが気がかり。そういう役割の選手もチームには必要だとは思うし、健全なのは彼に要求できる選手が増えていくことなのだろうけれど。
セットプレーのキック含めてキレていた。良い時の俊は本当に素晴らしい。

*1:村松・本田はコンディションが思わしくなかったようですね。